ハーフバースデーっていうのは、生まれて半年のお祝いのことだよ。
赤ちゃんが1歳になるのが待ちきれなくて、半年でやるのかもね。
珠季のハーフバースデーの日、ハハは張り切って、かわいいごはんにしようって思った。
いつもは1回食を朝10時頃にしていたけど、
チチが仕事にいく前に、記念写真を撮って、みんなで朝ごはんにしたんだよ。
せっかく離乳食も始めていたし、なんとなく好きそうかなっていうものを集めて。
バナナヨーグルトパンがゆ、アボカド、いちご、小松菜。
当時の珠季にしたら、朝から豪華な食事。完食したよ。
離乳食といえば、はじめてのものは朝に食べましょう、ってよく言われる。
アレルギーだったとき、すぐに病院に行けるようにって。
忘れもしないこのハーフバースデーの朝、食べ終わってしばらくしたころ。
珠季にどんどんじんましんが出て来て…、
おなかや、顔や、頭まで、真っ赤になって…、もちろん大泣き。
つらそうだった。これってアレルギーかもってちょっと思ったけど、
今日はじめて食べたものはなかったし、どんなじんましんがアレルギーかとかわからないし、
ほかの病気かもしれないし、すごく不安だった。とにかく病院に連れて行かなきゃって思ったよ。
そしてさらには、いつもの小児科の休診日だったんだ。
ハハは急いで、泣いてる珠季を車に乗せて、はじめての小児科に行ったよ。
順番を待っている間はチチに電話したりもした。
小児科で診てもらう頃には、ひどかったじんましんは少しひいて、
たぶんアレルギーだからって薬をもらったよ。
近くの大きな病院で検査してきてくださいってことになって、
その日に食べたものをぜんぶと、よくあるアレルギーの食べ物が、
珠季にとってどうなのか、血をとって検査したんだ。
結果は、卵とミルクとピーナッツのアレルギーだった。
ハーフバースデーのメニューは、ヨーグルトがだめだったんだね。
それからはよく説明をきいて、勉強して、除去食で行こうってことになったよ。
アレルギーの食べものは、アレルギーじゃなくなるまで食べないようにするの。
そのやり方で、少し大きくなって治る子もたくさんいるって聞いたから、それに期待したんだ。
ハハにとっては、また新しい世界のはじまりだった。
アレルギーとなると、おじいちゃんやおばあちゃんも気にして勉強して、
本当にいろんな治療法があるのを知らせてくれたりした。
でもハハは、病院で先生としっかり話して決めた方針を、ぜったい守るって決めたの。
うっかり食べちゃわないように、すごく気をつけるようになった。
珠季にあげるもので、買ったものは、裏の表示をすみからすみまで確認したよ。
パン屋さんでパンを買う時も、ミルクを使っていないパンはありますかって、必ず聞いてた。
外に行く時もだいたいお弁当を作ってたよ。
珠季のごはんは私がきちんと管理するぞっていう気持ちは、
新米お母さんらしい、すごくすごく強い気持ちだったような気がする。
濱田沙織